研究課題/領域番号 |
19390359
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
清水 公裕 群馬大学, 医学部, 助教 (90375535)
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研究分担者 |
アレキサンダー レジヤバ 独立行政法人理化学研究所, 理化学研究所, 研究員 (40443048)
懸川 誠一 群馬大学, 医学部, 助教 (70447275)
砂長 則明 群馬大学, 医学部, 医員 (70400778)
柳谷 典子 群馬大学, 医学部, 医員 (60400785)
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キーワード | 肺癌 / 遺伝子 / SMAP法 / EGFR / K-ras |
研究概要 |
我々は新規遺伝子変異検索技術SMAP法を用い、摘出肺癌組織から抽出したDNAサンプルを対象にEGFRおよびK-ras変異検出における精度及び感度を確認し、臨床現場での使用に対しての問題点と改善点を検討した。また既存技術では難しく、臨床現場での問題点とされていたパラフィン切片を標本とした変異検出系を確立した。さらに臨床現場での有用性を考え、摘出組織をそのまま鋳型として遺伝子診断を行うシステムを開発した。これらに加え、現行のシステムではEGFR exon19のうち一部の変異型のみ検出可能であったことに対し、PNAを用いることで、exon19の変異のうち報告されているほぼ全ての変異型を検出可能にするシステムを開発した。EGFR及びK-rasの変異検出においては約1%の変異を検出可能であり、臨床検体を用いた評価ではPCRを基にした既存の技術では検出できなかった微量な変異遺伝子も検出可能であることを確認した。また、パラフィン切片を対象とした検討では、ホルマリン処理によるDNAの断片化によりシークエンス等に必要な塩基長を有するPCRは行えないサンプルでもSMAP法では増幅長が短いことから可能であることが確認された。さらに摘出組織をそのまま鋳型とした検出法の検討においては摘出組織をSMAP法の鋳型とするための前処理を3分程度で可能とし、摘出から遺伝子診断まで約1時間という、既存技術では不可能な超迅速診断の開発に成功した。EGFR exon19の変異検出システムにおいては既知の変異型をほ全て検出可能とし、前述通り既存のPCRを基にした技術では検出できなかった微量変異も検出可能であることを確認できた。これらの検討結果より、SMAP法は迅速、簡便、かつ高感度、高精度であり、既存技術に比べ多くの点で臨床応用に優位であることを明らかにした。本研究で検証した技術を早急に臨床現場で実用化することにより、がん治療の均填化、より正確な遺伝子診断に基づく治療が可能となり、国民医療に貢献できる。
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