研究課題/領域番号 |
19390364
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松宮 護郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20314312)
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研究分担者 |
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00243220)
市川 肇 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (60303939)
上野 高義 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60437316)
倉谷 徹 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (90448035)
白川 幸俊 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20457013)
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キーワード | 重症心不全 / 細胞シート化技術 / 再生医療 / 自己筋芽細胞 / 脂肪由来幹細胞 |
研究概要 |
重症心不全に対する治療は現在のところ心臓移植あるいは人工心臓装着といった治療が有効とされている。しかし、移植数の伸び悩みや免疫抑制剤の服用、人工心臓装着状態での合併症の問題等、いずれも完全なる治療とはいえない。そこで、移植や人工心臓に代わりうる新たな心不全治療法としての再生医療について、我々はこれまで細胞をシート化する技術を用いることでより効果的な細胞治療を行うことを検証してきた。前年度において、自己筋芽細胞を用いたシート移植の効果を検証するとともに、そのメカニズムについて多くの知見を得た。今年度はさらに、細胞のデリバリー方法としてのシート移植の有効性を、注射針を用いた移植法と比較することで検証した。その結果、針で移植した細胞は90%近くが心筋への注入時に失われていたのに対し、シート移植では移植細胞の半数以上が左室心筋において検出された。細胞調整時における、控訴を用いた細胞剥離、遠心分離操作、及び注射針の通過といった細胞への物理的障害が、シート移植により軽減されていると考えられた。また、ラットで肺動脈絞約による右室負荷モデルを作成し、これに筋芽細胞シート移植を行うことで、筋芽細胞シートによる右室の線維化抑制効果および心機能改善効果を実証した。そして、当施設の倫理委員会における慎重な審査を経たのち、十分なインフォームドコンセントのもとに自己骨格筋筋芽細胞シート移植の臨床応用を開始した。これまで、2例の左室補助人工心臓を装着した重症心不全患者に当治療法を行い、うち1例では補助人工心臓を離脱するほどに心機能が回復、現在も良好な心機能・ADLが保たれている。
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