研究課題
本研究では、グリオーマ・脳腫瘍幹細胞(brain cancer stem cell;BCSC)共通抗原を標的とした免疫療法を開発するため、これまで我々が確立した神経幹細胞の低密度培養法を応用して、ヒトグリオーマ細胞株、ヒトグリオーマ組織由来の培養細胞からBCSCの分離を試みた。 Hoechst33324染色による排泄能の高いSP分画とBCSC・神経幹細胞の共通マーカーであるCD133発現を基本にBCSCの分離を行った。つぎに、分離されたBCSCの癌幹細胞としての基本的性質を検証するため、神経幹細胞培養条件でのスフェア形成能、自己増殖能、形成スフェアの多分化能(ニューロン、オリゴデンドロサイト、アストロサイトへの分化能)、さらに免疫不全マウス(NOD-SCIDマウス)脳内移植後の腫瘍形成能を解析した。その結果、ヒトグリオーマ細胞株、ヒトグリオーマ組織からそれぞれ1種ずつ、計2種類のBCSCの分離に成功した。さらに、これまで同定されたグリオーマ抗原の神経幹細胞、グリオーマ細胞、およびBCSCにおける遺伝子発現の比較解析により、BCSC抗原の候補遺伝子を同定した。今後はBCSC由来のcDNA発現ライブラリーを構築し、ニューロスフェア形成能を指標にしたBCSC増殖因子のクローニング、またグリオーマ患者血清を用いたSEREX法によるBCSC抗原分子の同定を試みる。同定されたBCSC抗原およびBCSC増殖因子の機能解析を行い、一方、マウスグリオーマ細胞株からBCSC分離を行い、マウス同種BCSC移植モデルを作製し、同定されたBCSC抗原を用いた免疫療法の有効性を解析する予定である。
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