研究課題
本年度の研究は、計画に従い以下の3方向の解析を行った。(1)SYT-SSXの癌化のメカニズムの解明:シグナル伝達アダプター分子CRKが必須であることが判明していたが、今回、滑膜肉腫においては、CRKとGablの過剰発現では、顕著にGablのY307のチロシンリン酸化が充進することを見出した。さらに、SrcノックアウトMEFを用いてチロシンリン酸化にはSrcが必要であり、このリン酸化によって細胞骨格の運動が制御されることが判明した。(2)SYTノックアウトマウスの作成:SYT-SSXの癌化機構を解明する前段階として、SYTの生理的役割を解明するためSYTノックアウトマウスを作成した。その結果、SYTノックアウトマウスは胎性E11.5日で致死であることが判明した。胎児の解析により、心臓の左室が菲薄化していることが判明し、電子顕微鏡検索により、心筋線維の構造的な異常はみられないものの、myofibrileの減少が認められた。また、神経管の閉鎖不全を認めた。胎盤の血管形成に異常所見は見られなかった。Gene chip解析にて、p300の発現が低下することが示唆され、また、p300ノックアウトマウスと同様の表現形を示すことが判明した。現在p300がSYTと協調作用をする分子か否かを検討するために、p300を細胞レベルおよび個体レベルでSYTノックアウトマウスに戻すことで、表現型が回復するかを検討している。(3)SYT-SSXをCMVプロモータでドライブさせたトランスジェニックマウスの作成が完了したが、1年間の観察で腫瘍形成はみられなかった。したがって現在はp53(+/-)マウスと高配してF1マウスで腫瘍形成が誘導されるか否かを検討中である。
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