研究概要 |
研究1:末梢神経緩徐伸長の適応と限界 我々が開発した末梢神経欠損間隙の新治療法:末梢神経両断端緩徐伸長法で、どのくらいの神経欠損を架橋し得るかについて臨床前最終段階の研究として実験を行った。成熟カニクイザル,3頭を用いた.前腕部正中神経を30mm切除した。両神経断端を自家開発の神経伸長器で1日0.5~1mmの伸長速度で両断端可能距離まで伸長した。3頭とも神経伸長に成功し、両断端を直接縫合により修復できた。機能的回復の評価として手指のピンチ動作と電気生理学的検査(運動および知覚神経伝導速度検査,筋電図検査等)、知覚閾値検査を縫合後4,8,12,16,20,24週に評価した.また再生神経の組織学的評価を縫合後24週にMCV,SCV、短母指外転筋重量および筋張力、筋入口部10mm近位の神経横断切片の有髄軸索数,径で評価した。MCVは健側比48%,SCV54%,CMAP振幅,筋重量48%,筋張力21%、軸索数86%,軸索径52%まで回復した。ピンチ動作は3頭全部で再獲得され良好な神経再生を確認できた。 研究2:臨床応用 研究1の結果を受けて、本法の臨床研究を行うことを筑波大学附属病院倫理委員会に提出、承認ののち、臨床研究を開始した。 第1例目の治療を行い、13mmの神経欠損の架橋に成功、縫合術後3ヶ月で当該筋の神経再支配(筋電図、MMT)を認めた。有害事象はなかった。
|