研究課題/領域番号 |
19390390
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
楠崎 克之 京都府立医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30177993)
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研究分担者 |
内田 敦正 三重大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40176681)
松峯 昭彦 三重大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00335118)
熊本 忠士 三重大学, 大学院・医学研究科, 助教 (50362348)
若林 弘樹 三重大学, 大学院・医学研究科, 助教 (50362687)
中村 知樹 三重大学, 大学院・医学研究科, 医員 (50467362)
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キーワード | ストロボ光 / アクリジンオレンジ / 光線力学的治療法 / 骨軟部腫瘍 / 光線力学的診断 |
研究概要 |
本年度は3年間の研究の最終年度である。今年度はストロボ光とAOの静脈内投与による光線力学的診断と治療が同時に可能であることを最終的に検討した。マウス骨肉腫の実験モデルを用いてAOの静脈内投与後キセノンストロボ光源を用いた青色励起光のフラッシュ照射で高解像デジタルカメラによるPDDを行い、その後にキセノン全光フラッシュ照射を続けてPDTを行なった。その結果」AO濃度は0.1-1μg/mlで60-120分後にPDDを行った後にPDTを行うことにより効率よく腫瘍の局在診断と腫瘍増殖抑制効果が得られることが分かった。しかし、キセノンのフラッシュ光でも肺転移の体外からのPDDは困難であることも判明した。四肢の骨転移についてはマウスではPDDとPDTは同時に可能であった。この結果からは本手法を人体に応用する場合は皮下ないし筋肉内に発生した腫瘍もしくは手足の骨腫瘍等への応用の可能性が示された。また、AO-PDTを行ったマウスでは肺転移がコントロール群に比較して有意に抑制されることが判明し、その原因としてフラッシュ光が肺転移巣に到達してPDTの効果が得られていることが推察された。最近の治験ではAO-PDTで腫瘍細胞内のライソゾームが不活性化されて細胞外基質の破壊が障害されることによって腫瘍細胞の浸潤・転移が抑制されていることが分かってきた。AOの静脈内投与によるマウスの体内での代謝は主に肝細胞で行われきわめて迅速に尿中および胆汁中に排泄されることが判明し、正常細胞内での蓄積はほとんどないことも分かった。肉腫以外では肺がん、前立腺がん、胃がん、乳がんなどの培養細胞に対してもAO-PDTは強い殺細胞効果を有することが分かり、各種の転移性骨腫瘍への応用も期待できることが分かった。
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