研究概要 |
学内医の倫理委員会に臨床研究の申請を行い受理された。 MRIの画像評価に必要な演算処理ソフトMatLabを学内ネットワークより入手した。この演算処理ソフト上でMRI画像を処理して画像解析を行うsoftware(MRI mapper)をBostonより入手した(free software)。 膝関節軟骨損傷(変性)に対して骨軟骨移植術を行う予定の患者に同意を得て、臨床研究を開始した。対象疾患は、1)変形性膝関節症(OA)による軟骨変性、2)外傷性の軟骨損傷、3)離断性骨軟骨炎(OCD)や膝特発性骨壊死、ステロイド性骨壊死などに伴う軟骨変性、である。評価項目は、1)自覚的臨床症状、2)他覚的臨床成績、3)骨軟骨移植術時及び12カ月後の再鏡視時における、超音波反射波による軟骨物理的特性評価、4)骨軟骨移植術術前及び、術後3,6,12カ月後におけるMRIによる評価(dGEMRICによるT1 mapping)、5)12カ月後の再鏡視時における移植プラグ生検による組織学的検索、である。 遅延相造影軟骨MRI(d GEMRIC)の撮像は、通常の1.5T MRIシステム(シーメンス社製)を用いて、gadolinium-DTPAを、0.2mmoles/kg静脈内注射後90分で撮像を行った。注射後10分以内に最低15分間の自転車漕ぎ運動を行い、軟骨内への造影剤の均一な拡散を得た。骨軟骨プラグにあわせて、saggital imagesを得た。移植プラグ一つ一つにROIを設定して、T1値を計算した。手術は、膝関節大腿骨膝蓋骨溝の内外側縁から骨軟骨プラグを採取して、病巣部へpress-fitの形で移植した。 現在までに、1)OAに対して3例、2)外傷性の軟骨損傷に対して2例、3)OCDなどによる軟骨変性に対して2例、のそれぞれ骨軟骨移植術を行い、術後3ケ月より順次MRIを測定していく予定である。
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