研究概要 |
骨細胞特異的蛋白のMEPEの血中濃度測定系を用いて正常値の検討 平成20年度までに血中MEPE濃度測定値の年齢層別、性別の正常値の検討を行うために、健診受診者で承諾の得られた方の血漿サンプル3000件以上を既に得て、血清ALP、無機リン、カルシウム濃度の測定を終えている。このサンプルの中から年齢増別、性別に人数均等になるように合計500人分のサンプルをランダム抽出して、現在MEPEのmonoclonal抗体でのELISAの系で120検体の測定を終え、MEPE monoclonal抗体の系で75%の血漿で感度以下、25%のサンプルで測定可能であった。現在、この感度を改善に関して、測定条件の調整を行っている。骨組織でのMEPEの発現様式:この検討を行う中で骨芽細胞の石灰化に向かう後期分化におけるMEPE, DMP-1, FGF23, Cx43といった骨細胞特異的蛋白の発現は低酸素環境により促進されることを見出した(JBMM25,266,2007)。さらにこの検討結果をふまえ酸素分圧が破骨細胞分化にも関与することを明らかとし(Bone44,71,2009)、また一方動脈硬化血管の中膜の石灰化部の平滑筋細胞でもMEPEの発現が確認され、骨細胞特異的と思われていたMEPEは骨以外の石灰化の場面でも関与していることが明らかとなった。この結果から、現在われわれは骨質を評価する新たな指標としてのMEPEの測定方法の開発は、動脈硬化を含めた石灰化との関与も捕らえ、健康寿命にかかわる骨・血管両者の疾患の病態診断となる可能性を考え上記の血漿中濃度測定の検討を進めている。
|