研究分担者 |
吉川 秀樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60191558)
守山 敏樹 大阪大学, 保健センター, 教授 (30283815)
名井 陽 大阪大学, 医学部付属病院, 准教授 (10263261)
中村 憲正 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 招聘教授 (50273719)
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研究概要 |
骨細胞特異的蛋白のMEPEの血中濃度測定系を用いて正常値の検討 健診受診者で承諾の得られた方の血漿サンプル3000件からの120例で行った抽出サンプルでの検討により、MEPE monoclonal抗体の系で75%の血漿で感度以下となる問題が生じた。これに対して感度改善を目指した測定条件の調整を行っているが、MEPEの分解産物あるいは全長をとらえている確実な証拠と感度向上を行うことの両者を同時に満たすことに未だ成功していない。この点は極めて重要でありさらに検討を要する状況である。 骨組織でのMEPEの発現様式:この検討を行う中で骨芽細胞の石灰化に向かう後期分化におけるMEPE, DMP-1, FGF23, C×43といった骨細胞特異的蛋白の発現は低酸素環境により促進されることを見出した(JBMM25, 266, 2007)。さらにこの検討結果をふまえ酸素分圧が破骨細胞分化にも関与することを明らかとし(Bone 44, 71, 2009)、また一方動脈硬化血管の中膜の石灰化部の平滑筋細胞でもMEPEの発現が確認され、骨細胞特異的と思われていたMEPEは骨以外の石灰化の場面でも関与していることが明らかとなった(現在投稿中)。酸化ストレスが血管病変に関与しているというこれまでの文献的報告や、我々が明らかにしてきた骨代謝にかかわる細胞が酸素分圧の影響下にある事実は、骨質を評価する新たな指標の開発が、動脈の石灰化、酸化ストレスの臓器への影響を評価する指標にもなる可能性を示唆すると考えている。そこで、骨と血管の両病変に酸化ストレス、酸素分圧が関与を同時にみることが可能な病態として、関節リウマチで着目し検討を進め、生物学的製剤(抗IL-6受容体抗体)治療時に酸化ストレスが低下することを明らかとした(学会発表)。現在、この酸化ストレスの軽減と骨粗鬆症、骨破壊、血管病変との関連に関して検討を進めている。
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