研究概要 |
本研究の参加に同意が得られた人工関節置換術施行患者から末梢血(PB)、骨髄液(BM)及び術中回収血(SB)を採取した。各サンプル中のCD34+/CD45dimm分画を幹細胞分画としてフローサーイトメターにて評価した。各サンプルからRNAを抽出し、real-timePCRにより、osteocalcin,alkaliphosphataseの遺伝子発現を定量的に評価し比較検討した。次に免疫細胞化学的手法にてosteocalcin陽性細胞の有無を確認した。さらに比重遠心法により各サンプルから単核球分画を単離し、10cm dishあたり10^7個の単核球を播種し、DMEM/10%FCSで1週間培養を行い、線維芽細胞様集団(fibroblast colony-forming unit:CFU-F)を10^6個の単核球あたりのCFU-Fを間葉系幹細胞含有率として評価した。 当初の仮説を裏付けるデータして、SB中にはPBより遙かに高い頻度でCD34+/CD45dimm分画が存在していた。さらに興味深いことにosteocalcinの遺伝子発現はBMより有意に高い発現を示していた。免疫細胞染色においてもSB中にosteocalcin陽性細胞の存在を確認できた。また、間葉系幹細胞含有率では低い傾向にあるがBMにほぼ同等する含有率を示していた。 さらに、人工関節再置換術患者から同様に同意を得た後PB,BM,SBを採取し解析を行った。ヘパリンによる抗凝固処理、フィルターによる組織片、凝血塊処理にてSBを回収し、COBE-Spectraで無菌的に単核球を単離した。これまでの結果同様、SB中にはCD34+/CD45dimm分画の存在、osteocalcinの発現の上昇、osteocalcin陽性細胞の存在、CFU-Fの産生も十分に確認できた。 以上の結果は、2007年第22回日本整形外科学会基礎学術集会にて発表を行った。
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