Runa2とOsterixは骨芽細胞への分化方向を決める(commitment)役割を有し、そこから分化を成熟させるには他の促進因子が必要で、この未知の遺伝子はOsterixの下流で誘導される'という仮説を検証する事を目的とした。そのために本年度はOsterixの下流の遺伝子、すなわちOsterixアデノウイルスに反応して発現が増える遺伝子をマイクロアレイで抽出した。この時、複数の間葉系前駆細胞、及び骨芽細胞系の細胞で全て同様に誘導される事に留意した。またこの時、筋芽細胞にてBMPによって誘導される遺伝子としてPitx2を同定し、実験を同時に進行させ、Osterixの発現を抑制する事も明らかにした。マウス胎児における候補遺伝子の発現は、胎生13.5日〜出生までをOsterixの発現と比較しながらmRNA量を観察した。その中から、Osterixノックアウトマウスで全く発現を観ない遺伝子の同定に成功した。その遺伝子のcDNAをmMSC(マウス間葉系幹細胞)にBMPとOsterixアデノウイルスを作用させた細胞よりクローニングし、レンチウイルス発現ベクターに載せて過剰発現系を構築した。ShRNAによるノックダウン実験の為にそのレンチウイルスを作製した。このレンチウイルスによって、細胞培養系で骨芽細胞分化が抑制される事を確認した。またノックアウトマウス解析にも着手した。この遺伝子の骨特異的発現が確認され、その意義について次年度で明らかにする予定である。
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