平成19年度に開発したTrkA活性抑制作用をもつ細胞膜透過性ペプチド(YGRKKRRQRRR-acp-SRDIYSTDYYR:Tat-SRDIYSTDYYR)が、動物の疼痛モデルにおいて疼痛抑制作用を持つかどうかを検討した。 ラット足底部への完全フロイトアジュバンド(CFA)を皮下投与し、2時間にTat-SRDIYSTDYYR(ペプチド群、n=6)または同溶媒のリン酸緩衝液(コントロール群、n=6)を同部位に皮下投与した。疼痛反応は、CFA投与前、投与2時間後、3時間後、5時間後、2日後、4日後、7日後に、疼痛側の足底部に、熱刺激を加えて、熱刺激に対する逃避時間を測定した。同様に疼痛側の足底部に、機械刺激を加えて逃避反応を示す値を測定した。結果は、ペプチド群において熱刺激に対する反応はCFA投与3時間後から4日後まで、機械刺激に対する逃避行動は、CFA投与5時間後から2日後までそれぞれ有意に抑制された(p<0.05)。 今後は、この疼痛モデルにおいて、脊髄後角細胞におけるc-fos発現や後根神経節細胞におけるTrkA発現に及ぼす効果を検討する予定である。
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