平成19年度に開発したTrkA活性抑制作用をもつ細胞膜透過性ペプチド(YGRKKRRQRRR-acp-SRDIYSTDYYR : IPTRK3と命名)が、動物の痛みモデルにおいて鎮痛作用を持つかどうかを検討した。 ラット足底部への完全フロイトアジュバンド(CFA)を皮下投与する炎症痛モデルにおいて、炎症部位に皮下投与したIPTRK3は、熱刺激に対する疼痛過敏と機械刺激に対する疼痛過敏の両方を抑制した。またIPTRK3を投与したラットでは、後根神経節細胞におけるTRPV1の発現が抑止された。 マウスの坐骨神経を損傷するSelzer modelを作成し、神経障害痛に対するIPTRK3の効果を検討した。Selzer model作成7日後に、IPTRK3を腹腔内投与したところ、熱刺激に対する疼痛過敏と機械刺激に対する疼痛過敏の両方を抑制した。 以上のことから、げっ歯類の侵害受容痛と神経障害痛に対して、IPTRK3は鎮痛効果を発揮することが明らかになった。
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