研究課題/領域番号 |
19390409
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
木下 浩之 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (70291490)
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研究分担者 |
畑埜 義雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70115913)
松田 直之 京都大学, 医学部, 准教授 (50332466)
中畑 克俊 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70332971)
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キーワード | 脳スライス / 電気刺激 / 20HETE / スーパーオキシド |
研究概要 |
麻酔したラットより脳を摘出し、ビブラトームを用いて、脳スライス標本(厚さ約150μm)を作成した。ついで、この標本を、酸素と炭酸ガスで通気したクレブス液(37℃、pH=7.4)で満たした観察用チャンバーに入れ、顕微鏡(オリンパスIX71-23DIC)で脳実質内動脈(外径約15-20μm,内径約5-10μm)を観察した。動脈の画像を現有のCCDカメラで撮影し、コンピュータに取り込んで、動脈径の変化をコンピュータ上で血管径測定用のソフトウエアを用いて解析した。先端径25μmのconcentric bipolar電極(FHS社製)を用いて、脳スライスを400μAで20秒間、刺激装置(DPS-07)で電気刺激し、これら電気刺激による血管収縮が、テトロドトキシン(10^-6 mol/L)、20-HETE合成酵素阻害薬HETOO16(10^-5 mo1/L)で修飾されるか否かを検討した。脳実質内細動脈は、電気刺激中は最大8%収縮し、刺激後は逆に最大8%拡張した。テトロドトキシンにより電気刺激に伴う収縮及び拡張反応は消失した。HETOO16は電気刺激中の収縮反応を抑制した。さらに、外因性の20-HETE(10^-8から10-6 mol/L)も同様に脳実質内細動脈を収縮させた。現有の共焦点顕微鏡FV300でスーパーオキシドの測定のため、脳スライスをヒドロエチジン(2×10^-6 mol/L)を20分間暴露した後、20-HETE(10^-6 mo1/L)を付加したところ、時間依存性にスーパーオキシドが発生し、この産生は、NADPHオキシダーゼ阻害薬gp91ds-tat(10^-6 mol/L)で抑捌された。これらの結果から、20-HETEは、脳実質内微小血管で、スーパーオキシドを産生し、これらの血管を収縮させることが明らかになった。さらにこのスーパーオキシドの産生に、NADPHオキシダーゼの関与が示唆された。
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