研究概要 |
難治性尿路バイオフィルム感染症の予防法および治療法の確立を主要な目的として研究を遂行している。 岡山大学泌尿器病態学分野において使用しているin vitroバイオフィルム実験モデル系(キャピラリーフローセルシステム)は、GFP (green fluorescent protein)産生株・非産生株のいずれを用いても再現性のある実験系として、過去数年問に進化を遂げた。平成20年度は画像解析ソフトをバージョンアップすることにより、容易に3次元構築像の確認が可能となった。平成20年度までに進化させたin vitroバイオフィルム実験系(共焦点レーザー走査型顕微鏡およびオールインワン蛍光顕微鏡での観察)において、人工尿中、緑膿菌性バイオフィルムに対して抑制効果を発揮する1種類の化合物(緑膿菌におけるクォーラムセンシング[菌密度依存的遺伝子発現機構]の阻害剤として見出された化含物)を見出した。 新規in vivo実験モデル系として、IVIS Imaging System (Xenogen社)を使用した。発光標識バクテリア(緑膿菌:Pseudomonas aeruginosa Xen5&Xen41,大腸菌:Escherichia coli Xen14,黄色ブドウ球菌:Staphylococcus aureus Xen29)を用い、ラット尿路バイオフィルム感染症モデルの確立を目指して検討した。その結果、バイオフィルムを形成したバクテリアの発光強度の減衰およびIVISでの測定条件に課題があることが明確となった。 薬剤耐性菌(メタロ-β-ラクタマーゼ産生緑膿菌、フルオロキノロン耐性大腸菌)に着目して、人工尿中、バイオフィルム形成能を検討した。その結果、極めて高いバイオフィルム形成能を有する菌株の存在を確認した。
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