研究課題/領域番号 |
19390422
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
佐田 正晴 国立循環器病センター研究所, 再生医療部, 室長 (20162399)
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研究分担者 |
山田 和彦 鹿児島大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40241103)
清水 章 日本医科大学, 医学部, 助教授 (00256942)
坪内 博仁 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60145480)
野崎 剛 鹿児島大学, 医学部・歯学部付属病院, 助手 (00433087)
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キーワード | 免疫寛容 / 腎移植 / ミニブタ / HGF / タクロリムス |
研究概要 |
近年日本国内で確立されたMHC-partial inbredクラウンミニブタを用い、HGFの腎移植拒絶反応抑制効果の検討、並びにドナー特異的な末梢性免疫寛容の導入を目指した実験を初年度(H19年度)に行い、円滑な実験により、国産ミニブタを用いた同種間腎移植拒絶反応モデルの確立、HGFによる導入期拒絶反応抑制効果という2つの大きな成果を得た。 1、研究分担者である山田は、MGHミニブタMHC完全不適合腎移植モデルでは12日間のFK506療法(血中濃度を35ng/ml以上)により免疫寛容を誘導しえることを報告しているが、クラウンミニブタSLA C-I/C-IIのMHC完全不適合の組み合わせを用いた準備実験(n=2)では、同様のFK506療法では移植腎は拒絶され、慢性拒絶反応への進展も生じるという知見を得た。H19年度は準備実験の再現性を確認するため、同様の腎移植実験を更に4例に行った結果、移植腎は全例拒絶され、急性拒絶のみならず明瞭な慢性拒絶病変が生じることを確認した(目的1)。更にFK506投与により、導入期に末梢血中CD4/FoxP3陽性細胞(Treg)が減少することを確認した(目的3)。 2、HGFの拒絶反応抑制効果を検討するために、1により確立した短期間FK506単独療法よる拒絶モデルを用いて3症例の腎移植を行った(目的2)。初例はHGF高濃度群として0.3mg/kg/日、次の2例では投与量を0.15mg/kg/日に減じ14日間投与した。3例全例でFK506単独群に認めたFK506投与終了後早期に生じる急性拒絶反応は認めず、移植第18日の血清Cre値は、FK506単独群の9.5±1.0mg/dlに対しHGF併用群では1.9±0.4mg/dlと有意に良好であった。2ケ月間は安定した移植腎機能を保持し、HGFの導入期拒絶反応抑制効果を確認し(目的2-a)、また末梢血中CD4/FoxP3陽性細胞の減少を認めず、HGF併用によるTregの維持効果が示唆された(目的3)。しかし最終的に移植後80日前後で拒絶され免疫寛容は得られなかった(目的2-b)。 H20年度はこの成果をもとに、HGF至適投与期間や至適投与量の調節により、急性拒絶のみならず、慢性病変の進展制御及びドナー特異的な免疫寛容誘導を目指し、同時にHGFによる拒絶反応抑制効果の機序の検討を進める。
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