研究概要 |
ヒトパピローマウイルス(HPV)16感染は、子宮頸癌に関連する15typesのHPVの一つで、約50%の原因を占めている。L1蛋白で作られたHPV16のウイルス粒子(VLP)による感染予防は型特異的であることが知られている。今回、我々は型共通の中和活性エピトープを持つL2蛋白を、L1蛋白に挿入することで、VLPワクチンを改変することを試みた。このキメラL1は、L1アミノ酸(aa)430とaa433の間に、L2配列(aa18-38,aa56-75またはaa96-115:aa101でSをLに、aa112でTをSにreplaceした)を挿入することで作成した。3種類のキメラL1は、昆虫Sf9細胞でリコンビナントのバキュロウイルスを用いて、それぞれ発現させて得られた。このキメラVLPを解析した。キメラVLPの表面には、L2蛋白が提示されていることが確認された。このキメラVLPでウサギを免疫すると、キメラVLPは、HPV16を中和する活性を維持したまま、感染性のHPV18,31,52,58pseudovirionを中和する抗体を誘導することができた。クロス中和抗体の力価は型特異的中和抗体の力価に比べ低かった。しかしながら、一般にL2蛋白に対する中和抗体力価は低くても、感染予防することが知られているので、このキメラVLPは数多くのハイリスクHPVの感染を予防するワクチン候補になることができることが示された。
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