研究課題/領域番号 |
19390426
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小西 郁生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90192062)
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研究分担者 |
万代 昌紀 京都大学, 医学研究科, 講師 (80283597)
松村 謙臣 京都大学, 医学研究科, 助教 (20452336)
馬場 長 京都大学, 医学研究科, 助教 (60508240)
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キーワード | 卵巣癌 / 播種性転移 / メチル化 / TGFβ / 低分子化合物 / マイクロアレイ |
研究概要 |
43種類の卵巣癌細胞株に5Aza-dCを添加して遺伝子発現の変化を調べたマイクロアレイデータを元に、卵巣癌における360個のメチル化遺伝子リストを作成した。それらのメチル化遺伝子群にはTGFβ経路の遺伝子が多く含まれており、実際にTGFBR2やTHBS1といった、TGFβ経路の活性を亢進させる遺伝子は、その発現とメチル化が逆相関していた。マイクロアレイによって、TGFβ経路の活性を調べると、5Aza-dCの添加によって、その活性が亢進することがわかった。さらに5Aza-dCによるTGFβ経路の活性化は、p-SMAD2/3のWestern blottingや、SMAD3-ルシフェラーゼアッセイでも明らかであった。 卵巣癌の臨床サンプルにおいて、TGFβ経路の活性とメチル化360遺伝子の発現は正の相関を示し、原発巣と大網転移巣の間で発現マイクロアレイデータを比較すると、大網転移巣においてTGFβ経路の活性亢進と360遺伝子の発現亢進を認めた。免疫組織染色による検討では、マイクロアレイデータに合致して、大網転移巣におけるTGFBR2タンパクの発現亢進およびp-SMAD2の発現亢進を認めた。TGFβ経路の阻害剤であるA-83-01は、マウス卵巣癌細胞株HM-1の浸潤、遊走をin vitroで抑制し、in vivoでは腹膜播種性転移モデルマウスの生存期間を延長させた。したがってTGFβ阻害剤A-83-01は、卵巣癌の転移に対する治療薬として有用と考えられ、臨床応用へ向けてさらに検討を行うべきと思われる。
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