研究課題
抗体医療の中でも癌細胞が発現している抗原を認識するモノクローナル抗体を利用した癌に対する標的治療薬の開発が注目されている。最近では抗体工学が進歩し、さらに標的分子の生体内での分布や機能が解析され、臨床応用が可能な治療用モノクローナル抗体が開発されている。我々が開発したヒトモノクローナル抗体(Mab)は完全ヒト型抗体産生マウス(KMmouse)を用いて作製され、ヒトに対する抗原性が少なく、頻回投与にても異種蛋白による抗体産生は起こらない特徴を有する。開発したMabのなかでもHMMC-1抗体は抗腫瘍効果を有することが判明しており、その効果および機序を検証した。In vivoのリンパ節転移物マウスモデルを使った今までの研究でHMMC-1抗体は婦人科癌の予後不良因子であるリンパ節転移に対して腫瘍縮小効果を示すことを確認している。この効果は子宮体癌に対するキードラッッグの1つであるドキソルビシンの抗腫瘍効果よりも大きかった。さらにHMMC-1抗体の認識抗原を解析し免疫沈降こより分離した結果、婦人科癌に特異的に発現する糖鎖抗原であることが判明し,子宮体癌における認識糖蛋白のcarrier蛋白を質量分析にて解析した結果、癌転移との関与が報告されているgalectin-3結合蛋白、CD49、やCD166が同定された。これらの分子の抗腫瘍効果への関与、さらに分子レベルでの機序を解明するためにDNAmicroarray解析を進めている。さらにリンパ節転移を標的とする新たな抗体作製を試みている。In vivo selectionにて高転移能を有する子宮体癌細胞株HHUAやHec-1Aを免疫原としてKMマウスを免疫し、樹立したhybridomaをスクリーニングし、現在候補となる抗体を複数確立している。
すべて 2007
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