研究課題/領域番号 |
19390430
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
青木 大輔 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30167788)
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研究分担者 |
鈴木 直 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (90246356)
鈴木 淳 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00255514)
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キーワード | 癌 / 糖鎖抗原 / 抗体医薬 / 転移 / ヒトモノクローナル抗体 |
研究概要 |
癌細胞に特異的に発現している抗原を認識するモノクローナル抗体は、特定の分子のみに作用するため、正常細胞には大きな影響を与えず、副作用を最大限に抑えながら抗腫瘍活性を呈する分子標的治療薬として現在、開発が注目されている。我々が開発したヒトモノクローナル抗体(Mab)は完全ヒト型抗体産生マウス(KM mouse)を用いて作製され、ヒトに対する抗原性が少なく、頻回投与にても異種タンパクによる抗体産生は起こらないと考えられる。 開発したMabの中でもHMMC-1抗体は抗腫瘍活性を有することが判明しており、その機序を検討した。In vivoのリンパ節転移動物モデルを使った今までの研究で、HMMC-1抗体は婦人科癌の予後不良因子であるリンパ節転移に対して腫瘍縮小効果を示すことを確認している。また、HMMC-1抗体の抗原は諸分析の結果、糖鎖であり、さらに認識抗原を質量分析にて解析した結果、galectin-3結合タンパク、CD49c、CD166が同定された。その中で癌転移に関連するといわれるCD166について解析を進めるため、HMMC-1抗体が結合するCD166分子上の糖鎖について調べた。硫酸化阻害試験の結果、HMMC-1抗原糖鎖は硫酸化修飾を受けており、CD166分子上の糖鎖に付加している硫酸基がHMMC-1の抗腫瘍活性に関与していることが示唆された。さらにHMMC-1が結合するCD166分子上の硫酸基に発現している硫酸基転移酵素について解析を進めている。 さらにリンパ節転移を標的とする新たな抗体作製を試みている。In vivo selectionにて高転移能を有する子宮体癌細胞株HHUAやHec-1Aを免疫原としてKMマウスを免疫し、樹立したhybridomaをスクリーニングし、現在候補となる抗体を複数確立し、今後は各抗体の特異性および抗腫瘍効果の検討を行う。
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