研究課題
同一患者の頭頸部扁平上皮癌組織と正常組織でのTRIM32のタンパク質発現を比較すると、70%の症例の癌組織で発現の亢進を認めた。また、免疫組織学的にも扁平上皮癌組織におけるTRIM32の高発現を認めた。酵母2ハイブリッド法を用いてTRIM32の新規結合タンパク質としてAbl-interactor2(Abi2)を同定した。TRIM32とAbi2の結合は、in vivoおよびin vitroでも確認でき、さらにTRIM32はNHLドメインを介してAbi2と結合することが明らかになった。また、in vivo ubiquitination assayによってTRIM32によるAbi2のユビキチン化を認めた。さらにpulse-chase analysisによって、野生型TRIM32(WT)によるAbi2の分解促進を認め、しかもその分解はRINGドメインを欠損させたTRIM32(DRING)や、プロテアソーム阻害剤によって抑制されることから、Abi2の分解がユビキチン・プロテアソームシステム依存的に行われていることが明らかになった。一方、プロテオーム解析を用いた頭頸部扁平上皮癌の研究は、現在サンプルからのmacrodissection及びmicrodissectionによるタンパク質抽出を終了し、2次元電気泳動で品質の確認を行っている。また前回の食道扁平上皮癌サンプルを用いたプロテオーム解析で、全ての正常部位での発現があり、癌部での発現を認めなかった仮想タンパク質であるClorf10の抗ペプチド抗体の樹立に成功した。現在頭頸部癌患者、頭頸部良性腫瘍および咽頭炎患者、健常者のそれぞれの血液サンプル合計約100例からこのペプチドの発現の有無を調べている。従来のSCC抗原やCYFRAより敏感度、特異度ともに優れた扁平上皮癌マーカーとなることを期待している。
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