研究概要 |
上咽頭癌は高転移性の癌でありその転移にはEpstein-Barr virus(EBV)が関与する。我々はEBV癌蛋白LMP1がいかにして発癌を誘導し転移を促進するかを報告してきた。最近我々はこのLMP1が低酸素誘導因子1α(HIF1α)を誘導し最終的には血管新生を誘導することを報告した。その機序はショウジョウバエの光覚受容体発生に必要とされる蛋白Seven in absentiaのヒト相同体Seven in absentia human homolog(Siah)1を介しHIF1αの安定化に寄与する事である。実際の上咽頭癌組織でLMP1,Siah1あるいはSiah1関連蛋白の発現量を確認、実際の転移能や生命予後に関する影響を明らかにする。またEBV関連腫瘍といわれるバーキットリンパ腫をはじめとするEBV関連リンパ腫でもそれらの発現を検討する。さらには、LMP1によるSiah1の誘導がこれまで論じられてきた血管新生、抗アポトーシス効果をはじめとして検討を行う。
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