研究課題/領域番号 |
19390433
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
古川 仞 金沢大学, 副学長 (40092803)
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連携研究者 |
吉崎 智一 金沢大学, 医学系, 教授 (70262582)
室野 重之 金沢大学, 附属病院, 講師 (20345622)
脇坂 尚宏 金沢大学, 医学系, 講師 (70377414)
近藤 悟 金沢大学, 附属病院, 助教 (70436822)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2010
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キーワード | 上咽頭癌 / バーキットリンパ腫 / 浸潤 / 転移 / Siah1 |
研究概要 |
上咽頭癌の原因蛋白であるEBV-LMP1は上皮系細胞においてSeven in absentia human homolog(Siah)1を介し、低酸素誘導因子1α(HIF1α)を安定化する。ところがバーキットリンパ腫浮遊細胞系においてはLMP1によってSiah1は減少する。すなわちEBV-LMP1による上皮系および非上皮系におけるSiah1発現調節は未解明である。本研究ではEBV関連腫瘍におけるSiah1の機能を検討して発癌臓器ごとに異なるEBV関連腫瘍の生物学的特性との関連性の解明を目的とした。EBV関連腫瘍組織においてLMP1,Siah1,HIF1α、各種血管新生因子、癌抑制遺伝子の免疫組織学的検査をおこなったところ、上咽頭癌においてのみLMP1とVEGFやHIF1α、Siah1の因子には相関する傾向がみられた。他の鼻性NK/Tリンパ腫やポジキンリンパ腫では相関関係は認めなかった。臨床的パラメーターの解析において、上咽頭がん患者ではSiah1はその発現頻度は病期進行度があがれば高い傾向にあり、LMP1の発現は必ずしも病期進行度とは比例しなかった。LMP1導入上咽頭細胞を低酸素環境に暴露するとLMP1単独発現よりも高いSiah1とHIF1αの発現を認めた。そのため、LMP1、低酸素自身による誘導いずれにもSiah1は関与していることが判明した。またLMP1発現上咽頭上皮細胞をヌードマウス皮下に移植モデルにおいても同様の現象を認めた。この事から生体内では上咽頭癌が増殖する際にはLMP1の信号のみならず生体環境が形成する低酸素環境自身が腫瘍の形成に深く関与している事が示唆された。
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