研究概要 |
アレルギー性鼻炎の病態の解明と治療方法の開発を目的として、アレルギー反応の誘導相と反応相に区別して、病態やその制御に関わる種々の因子について検討した。 その結果、下記の研究成果が得られ、今後の更なる研究の推進が望まれた。 ○アレルギー性鼻炎の反応相においてLPSが肥満細胞のTLR4を介しTh2型のサイトカイン産生を誘導することによりアレルギー性炎症の増悪因子として作用することが示唆された。 ○IL-15は鼻粘膜局所の実効相におけるTh2反応を抑制することにより、アレルギー反応を制御しているものと考えられた。さらに、IL-15は肥満細胞の脱顆粒を抑制することにより、鼻アレルギー症状を制御している可能性も示唆された。 ○アレルギー治療薬であるH1受容体拮抗薬が、マウス骨髄細胞由来の肥満細胞からのTh2型のサイトカイン産生を臨床用量で濃度依存的に抑制することを明らかにした。 ○ヒト気道粘膜上皮細胞の細胞株(CCL30, A549)や樹立した鼻粘膜上皮の細胞株では、LPS刺激で構成的にTLR2, TLR3, TLR6を発現してくるが、TLR4, TLR9については発現を認めなかった。 ○マウスアレルギー性鼻炎モデルにおいて、舌下免疫療法が有効な治療手段となりうることを確認し、さらにその機序について、炎症局所における制御性T細胞が重要であることを証明した。 ○Cryj1抗原のT-cell epitopeを遺伝子導入したスギ花粉遺伝子導入米を用いた経口免疫により、スギ花粉暴露による症状が抑制されることはすでに報告している。Cryj1抗原のT-cell epitopeとコレラトキシンベータサブユニット(CTB)を同時に遺伝子導入した場合には、遺伝子導入米におけるより少ないCryj1の抗原の発現量で、血中アレルゲン特異的IgE抗体価や鼻症状の抑制が認められた。
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