研究概要 |
上気道生体防御機構モデルの確立とその応用:初代ヒト鼻粘膜上皮細胞にテロメラーゼ遺伝子を導入して,延命効果,タイト結合の発現機能について検討した。遺伝子導入上皮細胞では安定した培養,経代が可能であり,細胞周期マーカーやタイト結合タンパクの発現は初代培養と同様であった。また,TGF-beta処置によりタイト結合タンパクであるclaudin-4の発現増強が認められた。タイト結合蛋白,特にclaudin-4選択発現増強はタイト結合蛋白の選択的抗原取り込み機構を示唆する(Kurose M, Kojima T, Himi T. Cell Tissue Res. 2007 330:63-74)。 今回確立した遺伝子導入ヒト鼻粘膜上皮細胞とヒト下甲介粘膜を用いてアレルギー発症での重要性が注目されているTSLP産生や樹状細胞との関連を検討した。また,初代培養ヒト鼻粘膜上皮においては、PKCはタイト結合のバリア機能を早期に亢進させると共に、タイト結合分子であるoccludin, claudin-1,ZO-1,ZO-2の増加を転写レベルで制御していた。さらに、足場蛋白であるZO-1,ZO-2は、転写因子であるGATA-3を介して制御を受け、claudinやoccludinの重合を支持していることが考えられた(Koizumi JI, Kojima T, Himi T Mol Pharmacol in press)。今回の検討は、ヒト鼻粘膜上皮のアレルギー発症における重要性を確認しただけでなく,新しい鼻粘膜を解したDDSの可能性を示唆するものである。
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