研究課題
平成19年度中に硝子体手術の際に網膜前増殖組織、硝子体液、血清を約100サンプル収集した。効率的な組織破砕やRAN抽出の条件を最適化し、増殖組織からのcDNADANライブラリの作成後、5'末端からのExpressde Sequence Tag(EST)解析を行った。さらに、各ESTを解析し、non-redundantに分類するESTパイプラインを構築し、発現遺伝子のデータベース化を終了した。抽出遺伝子の構造と機能を解析した結果、増殖組織中にTEM7(tumor endothelial marker7)が発現しており、増殖組織の新生血管のみにと発現し、既存の網膜血管には発現がみられないことを明らかにし、新しい診断治療の分子標的になりうると考えた。本研究を通じて、増殖組織の包括的遺伝子発現解析が真に患者に役立つ分子標的同定に極めて有用であることが示唆された。一方、マウス網膜を用いて当施設でのマイクロアレイシステムの信頼性を検証した。効率的なRNA抽出、ラベリング法、サンプルの繰りかえし数、スキャニングのダイナミックレンジ、データ抽出の条件およびデータマイニング法などを検証した結果、本マイクロアレイシステムは同一標本での相関係数が0.99以上であり、高い再現性があると結論できた。平成20年度に増殖組織のマイクロアレイ解析を行う予定である。網膜前増殖の前駆病変である虚血マウス網膜のマイクワアレイ解析を行い、酸素変動に伴い、クロマチン関連遺伝子、解糖系、免疫やアポトーシス関連遺伝子の発現レベルが変化することを確認した。抽出遺伝子の一部は増殖組織の発生に関与している可能性が示唆された。
すべて 2007
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