(1)NTGモデル動物の開発と病態解明 GLAST欠損マウスと網膜神経節細胞死に関与するapoptosis signal-regulating kinase 1(ASK1)とのダブルノックアウトマウスを作成し、網膜神経節細胞保護効果を判定するために形態学的解析および多局所網膜電位の計測を行った。また、IL-1がGLAST機能を賦活化する可能性について検討した。Muller細胞の培養液に放射性物質でラベルしたグルタミン酸を加え、IL-1を付加した場合の細胞内Na^+濃度やグルタミン酸取り込み量の変化を定量化した。IL-1添加後の細胞内シグナル伝達メカニズムを詳細に解析した。これらの研究成果は、Molecular and Cellular Biology誌に掲載された。 (2)MOCAによる神経軸索伸長に関する研究 昨年度までにMOCAの過剰発現によって大脳皮質の初代培養細胞に保護効果があることを確認した。そこで本年度は網膜神経節細胞へMOCA遺伝子を導入し、薬剤によって細胞死を誘導した場合の神経保護効果を検討した。さらに培養網膜片を用いたex vivoでの実験系を確立し、MOCA遺伝子の過剰発現による軸索伸長への影響を検討した。MOCAによる神経網膜発生への影響を調べるため、生後1日齢のマウスを用いて生体の眼球にMOCA遣伝子を過剰発現させた。一定期間後に網膜を採取して、層構造やシナプス形成に与える影響を免疫組織化学的に解析した。
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