膀胱や消化管は、臓器自体の有する神経調節機構が高次の中枢性神経調節をうけることで、各臓器に特徴的な複雑な機能を営んでいる。このような神経調節機構は、多くの小児外科疾患において先天的に障害されていたり手術操作などにより障害を受けることがある。内科的治療に抵抗性の場合が多い。小児外科では、食道閉鎖、胃食道逆流症、腹部術後胃排泄能低下症例、消化性潰瘍、化学療法や腹部照射後の麻痺性イレウス、CIIPS、MMIHS、long segmentヒルシュスプルング病、慢性便秘、直腸肛門奇形、ヒルシュスプルング病、CIIPS、MMIHS、骨盤部悪性腫瘍、二分脊椎、その他の膀胱直腸部手術(膀胱尿管逆流症、水腎水尿管症、膀胱前立腺悪性腫瘍)など多彩な神経障害の存在する症例を治療している。神経調節は神経に電気的刺激を加えることで機能改善を図るものであるが、電極を生体内に埋め込み刺激するような侵襲的な操作ではなく、体外より高頻度磁気刺激を行うことで小児に適した非侵襲的な神経刺激を行うものである。しかし、小児においては至適刺激条件や刺激部位に関しても不明な点が多く、動物実験を用いた基礎的な磁気刺激法に関する検討と、臨床的な応用により磁気刺激法を用いた神経調節の有用性を検討することを目的としている。
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