研究課題/領域番号 |
19390450
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
古川 洋志 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00399924)
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研究分担者 |
山本 有平 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70271674)
小山 明彦 北海道大学, 大学病院, 講師 (70374486)
舟山 恵美 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (10533630)
林 利彦 北海道大学, 大学病院, 助教 (00432146)
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キーワード | 再生医学 / ドラッグデリバリーシステム / 悪性黒色種 / 皮膚癌 / リンパ行性転移 / ヒアルロン酸 |
研究概要 |
本研究の目的は、対外から投与された場合にリンパ系に分布する可能性が高いと考えられているヒアルロン酸を用いて、リンパ系を標的としたドラッグデリバリーシステムを開発することである。 本研究では、ゼラチン導入ヒアルロン酸を作成し、これと、近赤外観察カメラ(PhotoDynamic Eye : PDE浜松ホトニクス)で観察可能な色素といて、リンパ管造影法やセンチネルリンパ節生検など近年臨床応用が盛んになされている、インドシアニングリーン(ICG)とを複合体化させることに成功した。 本複合体粒子の物性と、実際に動物の体内に投与した場合の動態について、以下に述べる方法で検討を行った。1)分子量の異なるヒアルロン酸に、それぞれ低分子量ゼラチンをカルボキシル基活性化法で反応させ、回収したゼラチン導入ヒアルロン酸をICGで標識した。得られた複合体粒子について、2)動的光散乱光度計による粒子の大きさの測定、および3)電気泳動光散乱光度計と、分子間相互作用定量水晶発振子マイクロバランス装置を用いた粒子表面の構造に関する検討を行った。また、4)ICGの複合体化による吸光スペクトルの変化について検討を行った。次に、5)ラット後肢足底部皮下に局所注射し、PDEでその動態を観察するとともに、6)膝窩リンパ節における病理組織学的検討も行った。 以上の検討により、粒子径および表面電位には大きな変化は認められず、粒子表面にはヒアルロン酸が存在することが示唆された。また、複合体化によりICGの持つ非特異的なタンパク質への相互作用が減少し、蛍光強度が増大する可能性が示された。動物実験では、蛍光強度の増大と、持続時間の延長が認められた。以上の研究成果と臨床とを照らし合わせると、本複合体は十分な蛍光強度の増大・持続時間の延長が得られ、またICG単体よりも効率よくリンパ系に分布する可能性が高いと考えられる。
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