研究課題/領域番号 |
19390451
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
関堂 充 北海道大学, 大学病院, 講師 (40372255)
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研究分担者 |
山本 有平 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70271674)
古川 洋志 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (00399924)
堤田 新 北海道大学, 大学病院, 助教 (00374489)
古田 康 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (60261301)
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キーワード | 顔面神経麻痺 / 神経多重支配 / 神経端側吻合 |
研究概要 |
近年の神経端側吻合の普及により、神経不全麻痺例や、回復の見込みの無いウイルス性神経麻痺などへの外科治療の適応が徐々にひろがっている。我々は、Neural-superchargeを提案し、主に顔面神経不全麻痺に対する本法の基礎的研究を行う。Neural-superchargeとは、各種神経移植と端側縫合を駆使して、神経ネットワークを構築し、異なる複数の神経信号を増幅付加させ、神経の多重支配により、不全麻痺や変性に陥っている筋肉の生理的な収縮を回復する、画期的な再建法である。 Neural-superchargeを用いた神経再建法は、倫理的な面で問題が無いため、基礎的な研究成果を待たずに我々は、陳旧性顔面神経不全麻痺症例に施行している。すなわち大耳介神経を舌下神経と顔面神経間に端側縫合し、異常運動の少ない良好な顔面表情筋の生理的収縮を得ている。我々は、本術式で何故異常運動が少ないのかを解き明かせば、他部位の神経障害にも応用できる普遍的な治療法に発展できると考えた。 まず我々は現顔面不全麻痺モデルの作成する研究計画を立案した。我々はラットを用いて血管結紮用クリップによる顔面神経本幹の結紮群とフェノールによる顔面神経本幹ブロック群を作成し、顔面表情筋の動きの経時的な変化を観察した。これまでの実験結果からは前者は筋攣縮を伴う完全麻痺、後者は不全麻痺の状態になっている。しかし神経逆行性トレーサーを用いた軸索および神経核レベルでの評価と前述の臨床評価では麻痺の程度に解離が認められることがあり、今後は神経トレーサー集積の定量法を検討している。 それに加えて、同様にラットを用いて実際に臨床で行われている舌下神経と顔面神経間に大耳介神経を喘側吻合したモデルを作成することに成功した。 今後は上述のモデルについて神経逆行性トレーサーを用いて神経核に至るまでの神経再生を確認し、実際の表情筋の動きと比較および評価を継続する予定である。またこれまでに作成した不全麻痺モデルと端側吻合モデルを組み合わせることにより、さらに臨床に近いモデルの作成が可能となる見込みである。
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