研究課題/領域番号 |
19390461
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅原 俊二 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (10241639)
|
研究分担者 |
黒石 智誠 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (30400261)
菅原 由美子 東北大学, 病院, 助教 (30235866)
|
キーワード | Th17 / インターロイキン-17 / インターロイキン-18 / シェーグレイン症候群 / 唾液腺 / リンパ球 / 口腔免疫 / 口腔粘膜 |
研究概要 |
本研究は、インターロイキン(IL)-17を産生する新たなヘルパーT細胞(Th17)による口腔免疫調節機構と口腔疾患の病態発現機構の解明することを目的に計画した。本年度は以下のような研究実績を得た。 1.シェーグレン症候群(SS)は、口腔および眼の乾燥を主症状とする自己免疫疾患であり、唾液腺組織では導管周囲への著明なリンパ球浸潤と組織全体の破壊を特徴とするが、病態発現機序の詳細は不明である。SSの小唾液腺組織ではIL-18が腺房上皮細胞に、IL-17が主に浸潤CD4陽性T細胞および導管上皮細胞に発現していた。健常者および免疫抑制剤投与下にある慢性GVHD患者の小唾液腺には検出されなかった。また唾液腺上皮細胞株HSYはIL-18RとIL-17Rを細胞膜上に恒常的に発現しており、IL-18はIL-17によるHSYからのIL-6の産生を相乗的に促進した。これらの結果は、IL-18およびTh17が産生するIL-17が相乗的にIL-6などの炎症メディエーターの産生を誘導し、SSの唾液腺の病態の発現・進行に重要な役割をしていることを示唆する。 2.ケラチン5(K5)プロモーターによりマウスIL-18を過剰発現するK5/IL-18トランスジェニックマウスは加齢に伴い唾液腺と顎下リンパ節の腫脹、脾臓と胸腺の肥大が認めらた。肺、肝臓、腎臓にも組織変性とリンパ球浸潤が認められ、さらに、SSAやSSBなどの血清中の自己抗体が加齢に伴い上昇することから、本マウスはヒトSSと酷似した病態を呈することが明らかとなった。唾液腺にはCD4陽性T細胞などのリンパ球浸潤が見られ、本マウスの脾細胞をT細胞刺激物質で刺激すると顕著なIL-17産生の亢進がみられ、Th17の関与が示唆された。さらに生後に抗CD25抗体を投与することにより制御性T細胞を生体内から除去すると、発症が促進されることが判明した。
|