研究課題/領域番号 |
19390464
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
脇坂 聡 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (40158598)
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研究分担者 |
前田 隆史 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (80324789)
本間 志保 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (40372627)
阿部 真土 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (40448105)
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キーワード | 味蕾 / 味覚受容関連遺伝子 / RT-PCR / 細胞系譜 / アポトーシス |
研究概要 |
口腔の機能は栄養の摂取であるが、単に食物摂取ではなく「美味しく食べること」はQOLの向上に極めて重要である。口腔内感覚のうち味覚は「美味しく食べること」について極めて重要な感覚である。本研究では(1)味覚受容器である味蕾の発育と味覚受容機構の獲得の関係、(2)味蕾細胞の細胞系譜について検討を行った。 (1)味蕾の発育と味覚受容機構の獲得:ラット有郭乳頭では味孔を持った形態学的に成熟した味蕾は生後に認められる。しかしながら、味覚受容関連遺伝子の発現をRT-PCR法により観察すると、五種類の基本味のいずれも成熟した味蕾が認められない胎生18日までには発現していることが明らかになった。このことは、形態学的に成熟していない味蕾においても味覚受容が行われている可能性を示すものである。 (2)味蕾細胞の細胞系譜:味蕾にはI型からIV型の四種類の細胞が認められる。このうちIV型細胞は他の細胞型への前駆細胞と考えられているが、IV型細胞がどの細胞型に分化してゆくかについては明らかではない。また味蕾細胞の寿命は約10日といわれ、アポトーシスによって消失すると報告されている。そこでアポトーシスの指標として単鎖DNA(ssDNA)を用い、それぞれの細胞型のマーカーと二重染色を行ったところssDNA陽性細胞はIII型、IV型細胞のマーカーを発現しないことがわかった。また、II型細胞とIII型細胞には組織化学的な共通点が多いことも明らかになった。このことから、IV型細胞は、一型細胞とIII型細胞に分化し、III型細胞はさらにII型細胞に分化するという2つの細胞系譜が存在することが明らかとなった。
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