研究概要 |
象牙芽細胞分化を観察する系として培養期間の延長や様々歯胚の分化段階に対応するために,次の点を検討した。30μm〜200μmの範囲で様々な厚さに薄切して培養し,細胞の形態維持が最適な厚さは200μmであった。様々な包埋材について検討したが、最終的には寒天がもっとも良好であった。DMEM+hamF12に10%FBSあるいはEGF,FGF2添加培地が効果的であった。酸素濃度については特に大きな変化はみられなかった。GFPマウスを用いて器官培養を行ったが、蛍光強度が強く個々の細胞の形態を確認できるには至っていない。そこで、スライスカルチャーの厚さを再度検討することと、さらに象牙芽細胞分化との関連性を明確にするための実験系としてDSPプロモーター+LacZマウスを用いた歯胚のスライスカルチャーを行い、lacZを蛍光で観察するイメージングを構築中である。RECKは,癌の悪性度や転移に関わるマトリックスメタロプロテアーゼの抑制因子として発見されたタンパク質で,神経細胞や平滑筋細胞などに発現する.我々は,免疫組織学的にこのタンパクが分化した象牙芽細胞の突起表面に強く発現することを発見し、ネスチンとは時間,場所ともに共通した発現を示すことを明らかにした.さらに、我々が樹立したmNeur3を用いた実験でもRECKとネスチンが共通して発現した。また、アクチンが細胞突起の形成や伸張に重要な働きをしていることが明らかとなり、Rhoの発現と突起伸長との関係を検索中である。これらのことを、スライスカルチャーによっても検証中であり、加えてNGFとFGF9の添加培地を用いた実験も現在進行中である。
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