研究概要 |
象牙質形成過程に関しての独特の組織構築とその細胞外環境において不明な点が多い。そこで,以下の内容を目的に研究を行った 1)細胞外マトリックスの変化,細胞骨格の変化,細胞の動きについてイメージングの構築。2)細胞突起形成のメカニズムを明らかにする。3)象牙芽細胞分化に必要な分化シグナルの解明。4)歯の組織再生の基盤技術の開発。 今年度得られた研究成果 1. 象牙芽細胞突起に特異的にアメロゲニンタンパクが存在する。 2. エナメル芽細胞の突起周辺にはマトリックス分解酵素(MMP)とその阻害剤であるRECK,硬組織形成阻害をするアメロゲニンが存在することから,象牙細管の管腔は石灰化機構と石灰化抑制機構によって維持されている可能性が示唆された。 3. 間葉系幹細胞が分泌するSCRG1が歯髄と象牙質との境界に分布していることを新たに発見した。 4. 昨年度に引き続き,象牙芽細胞分化のリアルタイムイメージング方法の改良に取り組み,細胞突起形成の様子を捉えた。 5. マウス切歯におけるROCKの免疫染色から、象牙芽細胞にはROCKIIが発現していることが分かった。,またその発現は象牙芽細胞の分化が進むにつれ強くなることが明らかになった。一方、ROCKIの発現はマウス切歯象牙芽細胞で検出されなかった。 6. ROCK inhibitor処理されたマウス切歯を器官培養し、象牙芽細胞の形態変化、象牙質の形成を経時的に観察した。その結果ROCK inhibitorによって象牙芽細胞の分化に伴う形態変化、核の極性の獲得は阻害され、象牙芽細胞の突起形成にRhoシグナルが重要であることを明らかにした。また, Nestinの発現も減少しており,細胞の極性に維持も重要な要素であることが示唆された。
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