研究概要 |
マウスOPG遺伝子プロモーター領域1.5kbをクローニングし,ルシフェラーゼレポーターコンストラクトOPG1478-lucを作製した.OPG1478-lucの転写活性は,活性型β-cateninもしくはWnt3aによって10倍以上上昇した.このβ-cateninによる転写活性化領域を同定するために,種々の欠失コンストラクトを作製し検討したところ-253より上流に応答領域の存在が推測された.そこで,この領域の4つのLef/Tcf1認識候補部位の変異レポーターコンストラクトを作製した.これらのコンストラクトを用いた解析からsite2とsite4が,この応答に関与することがわかった,また,BMP-2もしくはSmad1,4による転写活性の促進がこの2つの部位を介していることが示された.クロマチン免疫沈降法やEMSA法を用いた解析から,この2つの部位における転写調節因子複合体にβ-cateninおよびTcf1の存在が明らかになった.C2C12細胞においてOPGの産生はWnt/β-catenin及びBMP-2によって増大し,破骨細胞分化を抑制し,この作用をPTHや活性型ビタミンDが修飾することが考えられた.一方,RANKLの発現はWnt/β-catenin及びBMP-2いずれによっても抑制された.IP-Western法を用いたタンパク質相互作用の解析から,BMP-2の作用には細胞内におけるβ-cateninとSmad1,4複合体の形成を介することが示された.Wnt(ならびにLRP)のNon canonicalなシグナル経路と骨芽細胞分化の関連性の検討したところ,Wnt5a-C2C12細胞ではmiR-206の発現量が著しく減少していることが明らかとなった.Non canonicalなWntシグナル経路が骨芽細胞分化と関連している可能性が示唆された.
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