研究概要 |
これまでに作製したWnt/LRPシグナル分子組換えタンパク質及びWntシグナルを活性化させるsgGSKLについて, 生体内での骨形成促進効果を調べるため, 雄4週齢JcI : ICRマウスを用い評価を行った. 0.5-5nmolの種々の濃度の2'-O-methyl sgGSKL RNAもしくはpRNA Tin-H1.2/Neo-sgGSKLの連続投与によって骨の厚さの増大が観察された. このことからWntシグナルが骨形成誘導活性を有する可能性が示唆された. また, 骨芽細胞分化における種々のmiRNAの変動についてリアルタイムPCR法を用いて調べた. C2C12細胞においてBMP-2の添加によってmiR-206の発現が著しく低下すること, この低下にはmiR-206のプロセシングの抑制を介することが明らかになった. 一方, WntシグナルによるmiR-206の発現が低下には, 異なる機構の存在が示唆された. また, miRNAによつてWnt/LRPシグナリングの応答分子を修飾しうる可能性が考えられた. さらに, C2C12細胞におけるIP-Western法を用いた解析から, 古典的Wntシグナルの細胞内情報伝達分子のβ-cateninとBMP-2シグナルのSmadlが細胞内において複合体を形成すること, クロマチンIP法を用いた解析から, β-cateninとSmad1がOPG遺伝子プロモーターのsite2及びsite4に結合することを見出した. Site2およびsite4は, 研究代表者によって同定されたOPG遺伝子プロモーターの古典的Wntシグナル応答領域である. 以上の結果から, これらの分子の複合体によって骨芽細胞のOPG遺伝子発現を制御していることが明らかになった.
|