研究概要 |
昨年度までに明らかにしたGSK-3βを抑制させWntシグナリングを活性化させるsmall guide(sg)RNAであるsgGSKLについて,2'-O-methyl化RNAおよび2'4'-Bridged Nucleic Acid (LNA : Locked Nucleic Acid)をいくつかの塩基に挿入した種々の2'-O-メチル化RNAを化学合成によって作製した.これらのsgRNAを,C2C12細胞,CH310T1/2細胞等にトランスフェクションして,リアルタイムRT-PCR法などにより,骨芽細胞の分化の指標となるmRNA発現などに及ぼす影響を調べた.LNA塩基によるノックダウン活性を調べたところ,ある部位へのLNA塩基の挿入はノックダウン効果を増大させた.この化学合成RNAを用いて骨誘導活性に関する評価を行った.5nmolの投与によって骨の増大が観察されたが0.5nmolでは,明らかな変化は認められなかった.この結果は古典的Wntシグナルの活性化によって骨形成を制御しうることを示すものである.また,β-catenin分子の数か所のユビキチン化に関与する候補部位を変異させた数種類のコンストラクトを作製し,骨芽細胞分化に対する影響を調べた.また,Wntシグナルの有無におけるmiRNAの発現変化についてmiRNAアレイを用いて調べた.C2C12細胞でWnt3aの発現によって増加するmiRNAと減少するmiRNAをそれぞれ数種類ずつ同定し,リアルタイムPCR法を用いてさらにそれらの変動量を調べた.Wnt3aの発現によって増加したmiRNAは骨芽細胞において発現が高いmiRNAであり,骨芽細胞分化と何らかの関連性があることが予測された.さらに,骨髄ストローマ細胞のケモカインの発現量をELISA法によって測定したところWntシグナルの活性化によって調節されていることを見出した.
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