研究課題
我々は、新規ストレス応答キナーゼASK2が、口腔扁平上皮癌の発癌過程に関与し、個々の症例における癌細胞の何らかの生物学的性状を規定しうる分子であるとの仮説のもと、その分子機能を明らかにすることを目的として本研究を遂行した。前年度までのノックアウトマウスの発癌モデル解析から、ASK2が少なくともマウスにおいては癌抑制因子として働くことが示されていた。そこで本年度、ヒトASK2 mRNAの発現を高感度かつ定量的に解析する方法を確立し、子宮頸癌、口腔癌、食道癌、胃癌、大腸癌の細胞株各10株以上について、ASK2 mRNAの発現レベルを詳細に検討した。その結果、口腔癌、食道癌、胃癌、大腸癌の細胞株の多くが、コントロールとして用いた正常組織における発現レベルと比較して、明らかにASK2 mRNAの発現レベルが低下していた。その傾向は食道癌細胞株において特に顕著であった。そこで、ヒトASK2を特異的に認識するモノクローナル抗体を作製し、約100例の食道癌原発巣におけるASK2のタンパク質発現レベルを検討したところ、約半数の組織において、周囲正常組織と比較してASK2の発現が明らかに低下していることが明らかとなった。この結果から、ASK2がマウスモデルだけではなく、ヒトにおいても癌抑制因子として機能しでいることが強く示唆される。現在、口腔扁平上皮癌におけるASK2のタンパク質発現についても検討を進めている。
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