研究課題/領域番号 |
19390471
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大谷 啓一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10126211)
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研究分担者 |
青木 和広 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (40272603)
高橋 真理子 東京医科歯科大学, 歯学部, 技術職員 (90334440)
自見 英治郎 九州歯科大学, 歯学部・教授, 教授 (40276598)
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キーワード | 破骨細胞 / 骨吸収 / RANK / RANKL / 骨吸収阻害 / 低Ca食飼育食マウス / NF-kB |
研究概要 |
CIAM化合物がRANK/RANKL受容体リガンド複合体形成時にアロステリック効果により阻害効果を与えることによる骨吸収阻害効果を確認する目的で、in vitroでの破骨細胞様細胞形成に及ぼすCIAM化合物の作用の検討を行った。破骨細胞前駆細胞のソースである脾臓細胞または骨髄細胞をマウスから採取し、M-CSF、RANKL刺激により破骨細胞様細胞を誘導する。この系にCIAM化合物を加えて破骨細胞様細胞形成への影響を検索したところ、酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(TRAP)染色陽性の破骨細胞用細胞の形成が抑制された。また破骨細胞の機能分化を示すアクチンリング形成(ファロイジン染色)も減少した。さらに破骨細胞における情報伝達系へのCIAM化合物の作用を検討する目的で、破骨細胞の前駆細胞であるRAW細胞を用いてTNFあるいはRANKL刺激による情報伝達系機能分子の挙動に及ぼすCIAM化合物の作用を検討している。RT-PCRによるIKB-α、IKB-β遺伝子発現、EMSAによるNF-kBの核移行などを指標として現在解析を行っている。一方In vivoにおける研究として低Ca食飼育食マウスにおける検討を行ったところ、低Ca食飼育による急速な骨吸収に対してCIAM化合物による阻害が認められた。現在詳細な骨形態計測パラメータの解析を実施中である。 以上の初年度の結果よりCIAM化合物が破骨細胞形成ならびに骨吸収を抑制することが明らかとなった。したがってCIAM化合物はTNFあるいはRANK/RANKL受容体リガンドの結合を直接阻害したり情報伝達系のある分子機能を阻害するのではなく、受容体のリガンドへの結合能力を変化させることにより破骨細胞に影響を与える新しい薬理作用を有していることが予想された。
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