研究概要 |
平成20年度は赤外線サーモグラフィによる破折検出手法の検討のため,1.適用可能な赤外線サーモグラフィの条件,手技の絞り込み,2.各種条件が赤外線サーモグラフィに及ぼす影響と検出精度の検証を行った。 その結果,赤外線サーモグラフィを口腔内温度幅想定レンジ10-60℃にて記録したうえで,超音波による摩擦熱付与の条件に応じて,解析に適した温度レンジに設定・分析する方法が有効であることが明らかになった。また,測定環境温度が37℃では,23℃に比べ50%以下の時間で亀裂サーモグラフィが検出可能であり,摩擦熱付与の限界出力も80%以下の値で可能であった。 摩擦熱付与条件では,超音波負荷部位が亀裂から90°の位置になると,亀裂の検出は困難になり,60°以下では角度の違いで検出時間に大きな差はなかった。さらに出力0.63W以下では検出に10秒以上を要し,0.43Wではほとんど検出不能となった。一方,0.89W以上では,ほぼ10秒以下で亀裂の検出が可能であり,1.18Wまでは出力が上昇するにつれ,亀裂検出時間は短縮する傾向にあったが,出力が1.18Wを越えると,検出時間に大きな差はなくなった。以上のことから,VibroIR法を用いた摩擦熱を赤外線サーモグラフィによって計測することで,根管壁に生じた部分亀裂の検出が可能であり,今後,さらに検討を進める必要があるものの,出力は0.80〜1.18Wの範囲で,直近の亀裂に60°以内とすることのできる根管内3個所(120°毎)に10秒前後超音波を付加する条件が,臨床応用にむけて有望であることが示唆された。
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