研究分担者 |
白井 肇 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00263591)
河野 隆幸 岡山大学, 医学部・歯学部付属病院, 助教 (80284074)
鈴木 康司 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30304322)
鈴木 一臣 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30050058)
長岡 紀幸 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70304326)
|
研究概要 |
本研究では機能性モノマーとアパタイトとの化学的相互作用を分子レベルで検討することで樹脂含浸層の形成メカニズムを明らかにするとともに,樹脂含浸層の超微細構造と接着耐久性との関連性についても検討した。平成20年度は,まず昨年度に引き続き市販歯質接着システムに含有されている機能性モノマーの内,Phenyl-Pおよび10-MDPを用い,歯質表面にどのように作用するか検討した。 象牙質とエナメル質には,牛歯下顎切歯を用いた。試験片を15wt%の機能性モノマー溶液と反応させ,薄膜X線回折装置(RINT2500)で測定した。機能性モノマー溶液にエナメル質と象牙質の試験片を浸漬した場合,Phenyl-Pでは層状構造は認められなかったが,10-MDPは昨年度に行った合成アパタイト同様,象牙質との反応により層状の構造物を形成した。一方,エナメル質では層状構造の形成は認められず,単分子の層として吸着することが示唆された。このエナメル質と象牙質の違いから,機能性モノマーの反応は被着体最表面で起こるものであり,溶出したカルシウムイオン等により層状構造が形成されたのではないことが示唆された。また,15wt%の機能性モノマー溶液もエナメル質に塗布した場合は層状構造を形成しており,実際のプライマーのように歯面に塗布することにより,溶液に浸漬するよりも反応が進むことが明らかとなった。 次に,アミノ酸系モノマーとしてグリシン系モノマー(N-acryloy Glycine),アスパラギン酸系モノマー(N-acryloyl aspartic acid)を合成し,プライマーとして象牙質接着効果を調べたところ,後者は前者より高い接着性能を示した。これらのモノマーはリン酸系モノマーと異なった挙動を示す可能性があるが,現在は合成での収率が不良で,今後合成経路を見直し大量合成して詳細な検討を行いたい。
|