研究概要 |
本年度は移値用の細胞の機能を最大限に生かすための機能制御法を至適化するために実施した。 1.ヒト顎骨から骨髄穿刺により骨髄間質細胞を採取し、その後の処理法、培養液の検討、骨分化能の検討を行なった。その結果、顎骨の骨髄からも骨分化能の高い細胞を採取できることが判明した。 2.採取培養した細胞の生存状態と骨形成能を評価するため、移植細胞のためのキャリアーについて検討した。 F344ラットの大腿骨髄より採取培養した間葉系幹細胞を自己血から作製した自己フィブリンと混和し、炭酸アパタイト顆粒と共にラットの頭頂骨へ移植した。移植後1,3日および、1,2,4週後に頭頂骨を切り出し、脱灰標本を作製してH&E染色およびTRAP染色により骨形成能を評価した。その結果、MSC含有移植体の方が明らかに高い骨形成能を示したが、破骨細胞の出現には大きな差は認められなかった。 3.ヒト間葉系幹細胞の骨分化に関わる転写因子の解析を行なった。 DNAマイクロアレイ解析により骨分化に関わる特異的な転写因子を12個選択した。それぞれについてsiRNAを設計し、Mscに遺伝子導入することで骨分化に関わる影響を検討した。それぞれの遺伝子発現は今年度購入したライトサイクラー480でリアルタイムPCRを行なうことで評価した。その結果、これらの転写因子の中には、有意に骨分化を促進するものと、逆に抑制する遺伝子があることが判明した。このようなデータの結果を踏まえ、来年度は移植細胞として用いるMSCの骨分化に関わる転写因子の解析をさらに進め、移植までの培養の期間と培養のタイミングについての至適化を行なっていきたい。
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