研究課題
本研究は、歯列矯正治療におけるブラケットと歯質との接着において、治療期間中は高い接着強度を維持し、治療期間経過後には接着強度を低下させることにより、歯面を損傷させることなくブラケットを着脱できる新しい接着システムを開発しようとするものである。新システムとして、耐水性が高くない接着材(レジン添加グラスアイオノマー)を用い、接着界面への水の浸透を防ぐことで接着強度が維持され、界面に水を浸透させると接着強度を低下させることができることをステンレス棒同士の突き合わせ接着で実験的に確認した。これに基づき、今年度は抜去歯と金属ブラケットとの同様な接着実験を重ねて、その実用性を検討した。その結果、歯質からの水分の影響とみられる接着強度のばらつきが生じ、現段階ではなお確実性、信頼性を高めるべく検討が必要である。このことについて継続して検討を行うとともに、歯質からの水分の影響を受けない方法として、可視光線応答型酸化チタン(大阪チタニウムテクノロジーズ)を添加した接着材(GCフジオルソ)で、抜去歯(小臼歯)とセラミック・ブラケット(3Mユニテック)を接着させ、1か月水中浸漬後、可視光線(光照射器:GC社G-light prima)を照射したものとしないものの接着強度を測定した。その結果、光照射したものとしないものそれぞれ35例において、前者の接着強度が有意に低下することを確認した(p<0.01)。この方法は、歯面からの水分による接着破壊の影響を受けることなく、光照射によって接着強度を制御できる点で、本研究の目的達成にさらに有効な方法として浮上したので、配合条件等実用化に向けた検討を進めている。
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