研究分担者 |
佐藤 博信 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00145955)
松永 興昌 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (50389409)
片渕 三千綱 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (90454933)
都築 尊 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (70330967)
後藤 加寿子 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (60389468)
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研究概要 |
インプラント治療の成功には骨膜の細胞が分泌して形成される皮質骨の基質が少なくとも影響する.本研究では,下顎骨の皮質骨幅が異なるモデルマウスの骨基質の相違を明らかにするためにコラーゲンの生化学的分析を行い,さらにヒト献体を用いて四肢骨と比較した下顎骨皮質骨の骨基質の特異性を調べることにより,下顎骨の骨基質の様相を探求した.老年性骨粗鬆症モデルマウス(SAMP6)はそのコントロールマウス(SAMR1)に比べ下顎骨の皮質骨が細いのみならず組織学的に骨基質が疎な状態を呈した.また,骨基質中に占めるコラーゲン量が少なく,コラーゲンのリジン残基の水酸化の程度が大きく,同時にコラーゲン線維が細くなっていた.さらにはコラーゲンの分子間架橋数が少ない状態であった.以上より,下顎骨の皮質骨量が少ないSAMP6では,骨基質の主成分であるコラーゲンが量的に少なく,質的にも劣っていることが判明した.ヒト献体の下顎骨では,上腕骨と大腿骨と比べてミネラル量,コラーゲン量がともに多く,コラーゲンのリジン残基の水酸化の程度は少なかったことから,ヒトの皮質骨は四肢骨に比べ下顎骨において骨基質が質的に良好な傾向にある可能性が考えられた.また,これらの数値には大きな個人差があることも判明した.総括すると,下顎骨の皮質骨の骨基質には多様性があり,骨膜細胞の産物である皮質骨のコラーゲン分析を主体とする骨基質分析はその多様な性状を分析でき,将来インプラントの予知診断として有益となりうる可能性が示唆された.
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