研究課題
口腔癌の治療成績の向上には、所属リンパ節転移や治療後の局所再発の早期診断が不可欠である。所属リンパ節転移や局所再発の画像診断としては、現在、X線CTやMRIあるいはPETが有効な手段として常用されている。しかし、微小な所属リンパ節転移や術後変化を伴った部位での初期の局所再発の診断に関しては、X線CTやMRIあるいはPET等の画像診断では捉えられない場合が多く、結局のところ切除組織標本の病理組織学的診断に委ねざるを得ないのが現状である。本研究の目的は、ナノバブルと超音波を用いた新しい画像診断・分子導入システムを開発し、口腔癌の所属リンパ節転移や局所再発の早期診断・治療に応用し、口腔癌の治療成績の向上に寄与することである。平成19年度においては、Luciferase遺伝子が恒常的に発現したMRL/Tn-gld/gldマウス由来のMRL/N-1細胞を用いて、臨床試験導入用リンパ節転移モデルの確立を目指した。本研究において、リンパ節腫脹をきたすMRL/MpJ-lpr/lprマウスの鼠径リンパ節に、MRL/N-1細胞を1x10^5個を接種したところ、9日後には他のリンパ節への転移を認めた。このリンパ節転移モデルを対象として検討したところ、音響性ナノバブルと高周波超音波(中心周波数40MHz)イメージングシステムを使用することで、リンパ節内に形成された腫瘍の可視化と転移リンパ節内血管構造の抽出および血管密度の定量化をおこなうことが可能になった。また、ナノバブルと超音波を用いた分子導入システムを用いて、腫瘍細胞に分子マーカーを導入し腫瘍細胞の動態を把握することや、HSV-tk自殺遺伝子の導入などによる遺伝子治療を可能にする治療実験モデルを開発することができた。
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日本機械学会2007年度年次大会講演論文集 2
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