平成20年度においては、ナノバブルと超音波を用いた画像診断システムモデルの診断精度をマウス実験腫瘍モデルを用いて検討し、一方で、ナノバブルと超音波を用いた薬剤導入システムによるシスプラチン(CDDP)の抗腫瘍効果の増強について検討した。画像診断システムの開発に関しては、ルシフェラーゼ発現腫瘍をマウス皮下に接種し、この腫瘍の増殖をナノバブルと超音波を用いた画像診断システムで、腫瘍微小血管の三次元構築画像として経過時的に捉えるとともに、in vivo生体発光イメージングシステムを用いて腫瘍の増殖状態を確認した。さらに上記画像診断システムによる腫瘍の大きさの計測結果とキャリパーによる腫瘍の大きさの実測結果とを比較検討し、ナノバブルと超音波を用いた画像診断システムの診断精度を検討した。その結果、本画像診断システムを用いることにより、数mmレベルの腫瘍の腫瘍微小血管の三次元画像の構築が可能であり、この腫瘍血管の構築画像を解析することにより、本診断システムが、これまでの画像診断法では診断が困難であった口腔癌の微小リンパ節転移や局所再発の早期診断に有用である可能性が示唆された。一方、ナノバブルと超音波を用いた分子導入法による腫瘍細胞への薬剤導入促進効果を検討するために、CDDPと分子量が近いcalcein分子の培養腫瘍細胞への取り込みを定量的に検討し、さらに、本法によるCDDPの抗腫瘍効果をMTTアッセイ、DAPI染色、およびCaspase-3アッセイにて検討した。また、ルシフェラーゼ発現腫瘍細胞をマウスに移植し、CDDPを投与、生体発光分子イメージングシステムにより、ナノバブルと超音波を用いた分子導入法による抗腫瘍効果の増強について検討した。その結果、ナノバブルと超音波を用いた分子導入法により、CDDPの腫瘍細胞への取り込み量が増大し、抗腫瘍効果が増強する可能性が示唆された。
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