研究課題
吸収性、形状(顆粒、ブロック)、3次元構造(多孔性、繊維性等)が異なる様々な骨補填材がある。骨欠損に対する治療をおこなう場合には、その部位と治療目的に適した骨補填材を選択して使用することが望ましい。本研究の目的は、歯科臨床における骨補填材使用の適正化をおこない、その指針を提示することである。ハイドロキシアパタイトの直径5-10マイクロメーターの線維状の材料を作製し、ラットの切歯抜歯窩に適応し、その治癒過程を放射線学的、組織学的に検討した。その結果、この材料は抜歯窩の治癒を促進し、抜歯窩内に形成される骨組織と置換することを明らかにした。前年度の研究に続いて、alpha-TCPに骨芽細胞のBMP2発現を促進するシンバスタチンを組み合わせた骨補填材の臨床的有用性について継続して検討をおこなった。この骨補填材を使用した骨造成をおこなった部位にインプラント治療をおこなった7症例の臨床経過は良好であった。上顎洞に適応した一症例において骨造成部位から試料を採取して組織学的に検討した結果、補填材は吸収した新生骨に置換することが明らかとなった。学内臨床試験を終了し治験を計画したが、厚生労働省からこの骨補填材は薬剤を含むので医薬品としての治験をおこなうよう指示された。医薬品として治験をおこなうことは、資金的に困難であるため治験を断念した。上顎洞の骨造成方法として、自家骨や骨補填材を使用せずに、上顎洞粘膜をインプラントで挙上する手法の有効性を臨床的に確認した。この手法が、この部位の骨造成法の主流となることが予測される。本研究においては、吸収性の骨補填材の開発と、そのような骨補填材のインプラント埋入予定部位への適応の有効性について明らかにした。一方、非吸収性の骨補填材は前歯部の審美領域では有効であり、臨床においては吸収性と非吸収性骨補填材の使い分けが重要であると考えられる。
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