研究課題
1.神経切断モデルラットによる行動実験今年度は昨年度までのデータを踏まえて追加実験を行った。実験には8週齢のWistar系ラットを用いた。手術用顕微鏡下で舌下神経本幹を剖出す、以下の条件のモデルラットを作製した。それらは(1)オトガイ舌筋を支配する神経枝(オトガイ舌筋枝)の切断モデル、(2)オトガイ舌骨筋を支配する神経枝(オトガイ舌骨筋枝)は体性運動ニューロンと副交感神経による2重支配を受けているため、体性運動ニューロンと副交感神経の両者を切断するオトガイ舌骨筋枝切断モデルと、副交感神経のみを切断するモデル、(3)オトガイ舌筋とオトガイ舌骨筋枝の両神経枝を切断したモデル、とした。モデルラット群とコントロール群を同一条件で、一定期間(3~30日)飼育し、その間の舌の運動様相、呼吸動態、摂食様相についてモデルラット群とコントロール群間で比較検討した。その結果、(1)(2)(3)すべての条件下で、モデルラット群では舌運動量と摂食量の低下と、呼吸回数の増加傾向が認められた。2.モデルラットの中枢神経の組織学的変化実験1のモデルラット群とコントロール群を、飼育3日、10日、20日、30日に分類し、灌流固定を行い、脳幹および上部脊髄を摘出した。クライオスタットにて舌下神経核を含むレベルの凍結横断連続切片を作製し、免疫組織化学染色を行った。光学顕微鏡下で舌下神経核の、(1)呼吸リズムに同期して活動するオトガイ舌筋運動ニューロン(IGGm)の局在領域、(2)オトガイ舌骨筋体性運動ニューロン領域について、サブスタンスP陽性軸索終末の分布様相およびサブスタンスPの受容体(NK1受容体)の発現について、モデルラット群とコントロール群で比較・解析した。その結果、モデルラット群では飼育10日ころより、コントロール郡と比較してサブスタンスP陽性軸索終末の分布量やNK1受容体の発現量が少なくなることが明らかになった。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Neuroscience Letters 473
ページ: 155-157