研究課題/領域番号 |
19390530
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
香西 克之 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10178212)
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研究分担者 |
鈴木 淳司 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (90263714)
林 文子 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50325180)
吉村 剛 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50403530)
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キーワード | 小児歯周病 / 歯周病原性菌 / 感染経路 / 家族内伝播 / 母子伝播 / DNAフィンガープリント / 分子疫学 |
研究概要 |
歯周病原性菌のDNAフィンガープリントを行い家族内伝播について結果を得た。(方法)対象者の最も深いポケットに滅菌ペーパーポイントを5本挿入したものをサンプルとした。サンプルは可及的速やかに寒天平板培地に播種し、嫌気ジャーを用いて37℃嫌気条件下で3~7日培養した。Capnocytophaga属を分離するためGifu Anaerobic Medium(GAM)培地を、Fusobacterium属を分離するために変法FM培地を用いた。菌体はグラム染色後、光学顕微鏡にて観察した。同培地にてコロニーを16個ずつ分離し、各々GAM液体培地を用いて37℃嫌気条件下で7日間前培養を行った。その後、全量を10倍量の液体培地に植え継ぎ、37℃嫌気条件下で3~7日間静置して本培養を行い、1属につき16検体を得た。これらの菌株について、染色体DNAフィンガープリントを行い、属に含まれる菌種数を調べた。(結果)家族1:Fusobacterium属について、兄は4菌種、弟は5菌種、母親は4菌種保有すうものの、共通する菌株は認められなかった。Capnocytophaga属について、兄は3菌種、弟は3菌種、母親は3菌種保有し、母と弟に共通する菌株が1株見られた。家族2:Fusobacterium属について、子は5菌種、母親は4菌種保有し、共通する菌株は認められなかった。Capnocytophaga属について、子は1菌種、母親は5菌種保有し、共通する菌株は認められなかった。今回分離したCapnocytophaga属は生後3か月の早期より口腔内に定着し、とくに侵襲性歯周炎の歯周ポケットから高率に分離されることから、注目されている。また、Fusobacterium属は幼児期より口腔内に定着し、歯石保有者の歯肉縁上プラークから分離されることから、歯石形成に関与する可能性が示唆されている。今回の結果から、口腔内に定着するCapnocytophaga属は1~5菌種の保有が見られ、Fusobacterium属は4~5菌種の保有が見られたが、母子間、兄弟間で共通の株は1種類だけであった。以上より歯周病原性菌の伝播経路は齲蝕細菌とは異なる様相を示し,成人性歯周病を予防する上で貴重なデータを示すことができた。
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