研究概要 |
1)N2マウスを用いたQTL解析 癒合根の1つである樋状根を有するC57Lマウスおよび正常歯根を有するAKRマウスとの交配から得られたN2 backcrossマウスを用い、下顎第二臼歯に限局してみられる樋状根の歯根癒合度を表現型に、遺伝子型とのConventional QTL解析を行ったところ、Significant以上のLodスコアが染色体6番のD6Mit284とD6Mit230マーカー間、染色体7番のD7Mit105近傍で、染色体8番のD8Mit65からD8Mit50の近傍で認められた。とくに、染色体6番ではHigh significant以上のLodスコアが認められたことから主要遺伝子の存在することが強く示唆され、候補遺伝子は染色体6番上の7cMから40cMの領域に存在することがわかった。さらに、染色体6番上の7cMから40cMの領域に複数のMitマーカーを設定し、詳細な連鎖解析を行ったところ、染色体6番上の34cM近傍に主要遺伝子の存在する可能性が強く示唆された。 2)C57Lマウス、AKRマウスおよびC57BL/6Jマウスを用いた候補遺伝子の構造解析 染色体6番上の34cM近傍の候補領域には歯根形態形成に関与すると考えられるSmoothened(Smo),Neuropeptide Y(Npy),Transforming growth factor alpha(Tgfa),Wingless-related MMTV integration site 7A(Wnt7a),Microphthalmia-associated transcription factor(Mitf)遺伝子が存在することが知られている。そこで、樋状根を有するC57Lマウスならびに同属系統であり正常歯根を有するC57BL/6Jマウス、実験系のコントロールであるAKRマウスを用い、候補遺伝子の遺伝子構造解析を行ったところ、Npy遺伝子において、Mutant(C57Lマウス)とWildマウス(AKRおよびC57BL/6Jマウス)間で遺伝子配列に違いが認められた。 現在、樋状根成因に関与する主働遺伝子の同定のためのSouthern blottingによる連鎖解析を進めており、同時にReal time RT-PCRおよびin situハイブリダイゼーションによる遺伝子発現解析を行っている。
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